プロ野球の試合において、ボナファイドという聞きなれない用語が注目されていますがどういった意味なのでしょうか?
注目を集めたのは、2002年7月12日に行われた巨人―ヤクルトの一戦の6回裏の巨人の攻撃の場面でした。
1アウト、一、三塁で、バッターの炭谷選手が三遊間へゴロを打ち、二塁に送球してアウト。
三塁ランナーはホームインし、一塁もセーフとなりましたが、その後にボナファイドがあったとして得点が取り消されたのです。
ここでは、ボナファイドの野球での意味や英語表記、ルール上は守備妨害なのか見ていきます。
ボナファイド・野球での意味とは?
野球におけるボナファイドとは、塁を目指す際には「正しいスライディング」をしなければいけないという意味です。
スライディングは、守備の選手と交錯することも考えられ、怪我の防止を防ぐためのルールとなります。
ただし、日本のプロ野球の規則のなかにボナファイドという言葉はなく、メジャーリーグや審判のなかで広く呼ばれているものになります。
日本でも正しいスライディングに関するガイドラインがあり、以下の条件を満たさなければルール違反になってしまいます。
・ベースに到達する前にスライディングを始める
・手や足でベースに到達しようとする
・スライディング後にはベースに留まる
・野手に向かうために走路を変えずベースに向かって滑り込む
昔の野球を知っている方であればこれらを満たしていないスライディングの場面を思い浮かべることもあるのではないでしょうか。
怪我を防止するためには重要なものですが、かつては明らかに故意に野手に向かっていくこともありましたし、安全のためには重要なものとなっています。
ボナファイド英語表記では!
ボナファイドの英語表記は「bona fide slide」で、メジャーリーグでは正式なルールとして2016年から採用されています。
直訳すると「bona fide=誠実な、善意の」となり、元々はラテン語からきているフレーズとなります。
一般的には契約書などの文言として使われることがあり、「善意の使用者」「善意の従業員」などと訳されています。
ただし、善意という意味で使われるよりも「誠実に、真意に」と使われることが多いようですね。
例えば、「誠実な交渉」とすることもありますし、「正式な休暇」といった言い回しとしても見受けられます。
ボナファイドはルール上は守備妨害?
ボナファイドは、危険なスライディングによる怪我から選手たちを守る上で重要なルールです。
ゴロに打ち取って二塁、一塁のダブルプレーにしようとしても、一塁に投げさせないように選手に向かって危険なスライディングをする傾向がありました。
それによって重大な怪我をしてしまう可能性があり、過去にも同様のケースが見受けられていました。
冒頭の巨人―ヤクルト戦では、スライディングをした一塁走者のパーラ選手によって、一塁に送球しようとした山田哲人選手がバランスを崩しました。
たしかに、ベースに向かってスライディングをしていましたが、その後に勢いあまってベースを越えてしまっています。
この部分が規定違反に当たり、本来ならダブルプレーが成立していたとして一塁もアウトになり得点も取り消されています。
一方で、2019年のヤンキース―オリオールズ戦では危険なスライディングと思われましたが、4つの条件を満たしていたとして危険ではないと判断。
条件を満たしていれば危険でもOKとの判断になるため、ボナファイドの判定は難しい問題です。
もし、条件を満たしていても大きな怪我をしてしまった場合には、さらなるルール変更が求められることになるかもしれません。
まとめとして
野球におけるボナファイドとは、「正しいスライディング」の条件を満たして怪我を防ぐことを目的としたガイドラインです。
故意でやっていたとしたら問題ですが、意図してやっていなくても違反に当たる可能性があるため選手の認識や審判の裁量がポイントとなります。
ファンとしては、危険を伴う小細工なんかせずに、正々堂々とぶつかりあうプレーを期待したいところですね。