「炊いたん」という料理名を、最近よくレシピなどで見かけます。
どうやら関西の料理らしいのですが、関西以外に住む者には、なんと読むのかわかりません。
炊いたんとは、いったいどんな料理なのでしょうか。
また、炊いたんという言葉の由来も知りたいです。
そして、素敵な響きの「炊いたん」ですが、呼び方が嫌いな人も多いとのこと、なぜなのでしょうか?
今回は、炊いたんについて迫っていきます!
炊いたんの読み方は?
「炊いたん」の読み方は、「たいたん」です!
たいたん…決して土星の衛星とか、ギリシャ神話の巨人とか、ロケットなどの「タイタン」ではありません(笑)
最近全国的に名が広まっている「炊いたん」ですが、おもに京都などの関西地方の方言です。
「炊いたん」とは、どんな料理なのかと言うと
ひたひたの煮汁や出汁で、じっくり・コトコト炊いて(煮て)、具材に煮汁や出汁の美味しさをたっぷり含ませた料理
なのです。
そう聞くと、関東に住む人々によっては、「ああ、煮物のことね」と思ってしまいがちです。
関東の方では、野菜などを煮汁や出汁で加熱することを「煮る」と呼びますね。
関西の方では、「煮る」ことを「炊く」と呼びます。
関東では「炊く」という言葉は、「ごはんを炊く」などという言葉で使うので、不思議に思う方も多いと思います。
「炊いたん」は、たしかに「煮物」なのですが、関東の方で読んでいる「煮る」と関西の「炊く」はちょっとニュアンスが違うのです。
関東の「煮る」は、たっぷりの煮汁や出汁で加熱したもので、煮物だけでなく汁物や豚汁なども「煮る」と呼ばれます。
関西の「炊く」は、具材に対して煮汁や出汁が「ひたひた」。
「ひたひた」は鍋の中で、具材が煮汁や出汁からほんの少し頭を出している状態のことを言います。
そして、加熱の仕方は、あくまで「じっくり、コトコト」。
煮物の場合、時に火を強めて具材を煮汁に「煮からめる」ことなどもありますが、「炊く」場合は、火は弱めたまま、やさしく具材に味を染み込ませます。
そうして出来るものが「炊いたん」です。
近年、京都ブームで、京都の「おばんざい」(惣菜)が注目されてきました。
そのおばんざいの種類の1つが「炊いたん」です。
弱火で長時間加熱された「炊いたん」は、具材がやわらかく、かむと煮汁や出汁の味わいがじゅわっと口中広がり、幸福感が広がります。
美味しい上に、体にもやさしく、滋養も満点な印象がありますね。
炊いたんの方言の由来!
全国的にも周知されてきた料理「炊いたん」。
主に京都などの関西の方言から来た料理です。
関西では、大根や人参やお芋などを煮汁や出汁で加熱することを「炊く」と呼ぶと先ほど触れました。
「炊いたん」の方言の由来は、この「炊く」に、「ん」の部分は「の」に転じたものです。
意味・語源は、「炊いたもの」なのです。
そして実はこの「炊いたん」、京都などの関西の方は、以前から
「大根炊いたん」「お豆炊いたん」
等、話し言葉として使われていることが多いとのことです。
それが京都のおばんざいの流行で、「炊いたん」が、料理名として知られるようになりました。
京都のおばんざいのレシピ、メニューなどでも全国的に「人参の炊いたん」「子芋の炊いたん」など、地域性を感じる呼び名で紹介されています。
炊いたんの呼び方が嫌いな人も多い?
方言から始まり、今では全国的に人気の料理「炊いたん」。
しかし、一部では、この「炊いたん」という呼び方が嫌いな人も多いようです。
その理由について探ってみました。
- もともと「炊いたん」は、「炊いたもの」という意味で、料理名で使われることにちょっと違和感
- 「炊いたん」という言い方は、シニア世代が多く使っていたのに、若い子が使っていたり、料理名として周知されていることに違和感
- ほっこり、ナチュラル系主婦がブログやSNSなどで「炊いたん」と呼んでいることに違和感
- 関西に住んでいない人が、「炊いたん」と呼んだりすることに違和感
- 「炊いたん」の「たん」の語尾が、ちょっと甘い感じで、イラッとする
等々、様々な理由があることがわかりました(笑)
おそらく、関西圏の人たちが以前から使ったり呼んだりしていた「炊いたん」と、関東や全国で注目されたり、料理名・商品名などで呼ばれている「炊いたん」とは、微妙にニュアンスが違うのかもしれませんね。
まとめとして
関西では身近で当たり前のような存在だった「炊いたん」。
関東や他の地方では体にも心にもやさしい素敵な料理として注目されていることに違和感を感じる人たちもいたり…なかなか、奥深いものを感じます。
何はともあれ、これから暑い夏本番で体がバテそうなこの時期、具材と煮汁が存分に楽しめる「炊いたん」、作ってみようかと思います!